マイクロエレクトロニクス

マイクロエレクトロニクス製品の金属組織学的試料研磨

そのサイズと複雑さにより、金属組織分析用のマイクロエレクトロニクス部品の試料作製は困難な場合があります。 このガイドでは、マイクロエレクトロニクス試料の効果的かつ正確な材料除去を確実にするために必要な特殊な技術と装置について、再現性のある結果と共に概説します。

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マイクロエレクトロニクスの主な特性

過去25年以上にわたり、電子機器の開発と製造技術は急速な進歩を遂げてきました。 これまで、電子機器は大型でかさばり、ほとんどの電子部品は大型プリント基板 (PCB) に個別に配線されていました。

集積回路 (IC) の開発により、マイクロエレクトロニクス部品の小型化が可能になりました。 IC は、有線バージョンよりも小型で信頼性が高く、コストが安く、パフォーマンスも優れています。 IC は、能動部品 (トランジスタやダイオードなど) や受動部品 (抵抗やコンデンサなど) を組み合わせて、ウエハーと呼ばれる半導電性材料 (通常はシリコン) の単一スライスに完全な電子回路を作製します。 このようなマイクロエレクトロニクスチップは、電子ユニットに差し込まれる PCB に取り付けられます。

マイクロエレクトロニクス部品の金属組織

ほとんどのマイクロエレクトロニクス部品は大量生産されるため、その品質管理は通常、欠陥部品を検出するための熱サイクル試験に限定されます。 しかし、金属組織は以下の点で重要な役割を果たします。
  • 開発、設計とチップベースコンポーネントの故障解析: コンポーネントの断面を調査して、潜在的なマイクロビア、亀裂、空隙、ハンダボール、導電層または接続を識別
  • スポットチェック: 生産の異なる段階で実施

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図1: 中心に伝導リード、トランジスタ、抵抗、ビア、コンデンサを含むリニア集積回路の詳細

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図2: ICの伝導リードを含むシリコンウエハの横断面

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図3: PCB に取り付けられたコンポーネント

マイクロエレクトロニクス部品には、ガラス、セラミックス、金属、ポリマーなど、様々な材料が含まれています。 そのため、試料作製では、これらの材料の個々の特性を明らかにするために、制御された材料除去が必要です。

一般的な確認内容:
  • 空隙、含有物、亀裂などの欠陥のサイズと分布
  • 材料の結合と付着、その境界面。
  • 層の厚さ、ワイヤー、ハンダ状態など実装内の異なる部分の寸法と形状。
  • セラミック内の多孔性と亀裂。
  • 平坦性とエッジ保持 (材料間の非常に薄い層は高い倍率で検査される)

そのサイズと複雑さにより、マイクロエレクトロニクス部品は金属組織分析用の試料作製が非常に困難な場合があります。 その結果、制御された材料除去で正確なレベルを保障するために特別な試料作製技術および装置が求められます。

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図4: マイクロ電子部品における材料構成の例 

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図5: 積層コンデンサ (1) は、回路基板 (2) の銅のメタライズにハンダ付け、疲労亀裂 (3) がハンダを通して連続的に伝播している

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図6 aとb: 平坦度の相違を高倍率で示す銅を含むセラミック:a) シリコンカーバイドフォイル/ペーパーを使用した最初の精研磨 b) MD-ラルゴ精研磨円板を使用した最初の精研磨 

マイクロエレクトロニクス試料のタイプ

マイクロエレクトロニクスを微細構造の観点から見ると、次の 3 種類の試料に分類されます。

シリコンウエハー
半導体シリコンウエハーの性能は、材料の特性、つまり微細構造と化学成分という観点で密接な関係があります。 そのため、電子部品の開発や品質管理の両面において、シリコンウエハーの微細構造分析が重要です。

材料除去を制御することにより、円筒状シリコンインゴットの薄いスライスは、分析用に微細構造の試料が作製され、一般的には赤外線 (IR) 顕微鏡およびフーリエ変換赤外線 (FTIR) 分光法に使用されます。 シリコンウエハーの平行断面または横断面は、正確な微細構造研磨後に密閉されない形態で検査されます。 集積回路の詳細は、分析の規模や種類に応じて、光顕微鏡または電子顕微鏡で調査します。

集積回路 (IC) とコンポーネント
個々のウエハーは、異なる相互接続およびコーティング技術で、コンパクトICまたはコンポーネントにパッケージ化されます。 この小さく複雑なマイクロエレクトロニクス部品の微細構造横断面は、開発、設計、製品スポット点検および不具合分析などに使用されています。 検査の目的では、亀裂、空隙、ハンダボール、電導、分離層、接続部などの観察です。

金属組織検査は、多くの場合、パッケージ内の特定の領域を対象にします。 したがって、制御された材料除去で、この目標を特定し、現します。 コンデンサやレジスタなどの個別部品も微細構造検査の対象として、形状や微細構造の欠陥などの分析が行われます。

プリント回路基板 (PCB)
は、エポキシ樹脂/繊維ガラスまたはセラミックの下地材、銅のメッキ金属層、および「ビア」と呼ばれるメッキ穴で構成されています。

PCB 材料の試料作製は、基板材料の欠陥の原因を突き止めるのに役立ちます。 最高の業界基準に従い、メッキされたPCB のビアの品質では、材料組織学的な検査がされています。 このため、メッキのビアの中心を顕微鏡で検査できるようにテストクーポンを作製します。 さらに、断面で接続部、コーティングの均一性および厚さを調べます。

マイクロエレクトロニクス試料作製における課題

マイクロエレクトロニクス試料で制御された材料除去とターゲット試料作製を行う際には、主に3つの課題があります。

寸法が小さいため、小さな試料を取り扱うための特殊な装置やアクセサリが必要です。 切断や研磨などの工程では、通常寸法がμmの範囲にあるために、通常よりも高い精度が必要です。 マイクロエレクトロニクスでは

様々な材料の複合材が一般的で、軟質金属、セラミックス、および複合材が緻密にパッケージされています。 これにより、試料作製方法およびパラメータを選択する際、特定の要件に合わせて慎重に選択する必要があります。 検査対象のターゲットが小さい場合は、

制御された材料除去と的確な試料作製が必要です。 金属組織試料検査では、多くの場合、相互接続されたチップのパッケージ内の特定の領域を検査します。 これは、通常、「研磨とチェック」と呼ばれる手動で制御する材料除去プロセス(ターゲットが現れて仕上げ研磨の準備ができるまで、研磨とチェックを繰り返す工程)を伴うため、時間がかかる可能性があります 。

研究および不具合分析において、研磨とチェックの繰り返し中にターゲットを見逃すことは、唯一または貴重な試料を失うことを意味します。 そのため、高い機械精度、光学測定ユニット、および研削の機械的な停止による自動化または最適化されたソリューションが使われます。

マイクロエレクトロニクス試料作製における一般的な課題:
  • 切断: シリコンウエハー、ガラス、セラミックのチッピングおよび亀裂
  • 埋込み: 機械的変形と熱損傷
  • 研磨: ガラス繊維やセラミックなどの脆性構成要素の破壊
  • 琢磨: 柔らかい金属層のスミヤリング、異なる材料の硬さの違いによる浮彫、ハンダに残る炭化ケイ素とダイヤモンド粒子


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図7: ダイオード中の亀裂検知 

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図8: ハンダ接続部に疲労亀裂を含む年数を経た積層セラミックコンデンサの断面 

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図9: メッキのスルーホール接続用ハンダに大きな空隙 (50倍)

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図10: メッキのスルーホール接続用ハンダに空隙および亀裂 (200倍)

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図11: ソルダーボールの横断面、DIC

 

マイクロエレクトロニクス試料作製: 切断&埋込み

マイクロエレクトロニクス試料の切断

マイクロエレクトロニクス部品または組み立て品のサイズや脆性に応じて、機械的な損傷を防止するために切断前に部品やパーツを保持することが必要になる場合があります。

切断時には、機械的損傷を避けるために、観察エリアから十分離れた場所を切断します。 試料が切り離されたら、残りの材料を慎重に研削します。 こうすることで、セラミック、ガラス内のチップ、または層またはハンダスポットの剥離を引き起こすリスクを抑制します。

マイクロエレクトロニクスを切断する場合、調査対象のマイクロエレクトロニクス試料の種類に応じて、高精度切断機の範囲を選択できます。
  • プラスチックを切断する場合: 電着ダイヤモンドホイール (E1D20) または樹脂結合ダイヤモンドホイール (B0D20) を推奨
  • コンポーネントが大型の場合: セコトムに電着ダイヤモンドホイール (直径20mm、細かい切削用15mm) を推奨
  • 個々に小型または壊れやすい部品を切り離す場合: アキュトムに小型の切断ホイールを推奨
  • マイクロエレクトロニクス部品が埋め込まれた携帯電話またはボードの場合: セトコムなどの中規模機械を推奨

マイクロエレクトロニクス試料の埋込み

マイクロエレクトロニクス部品は、複合性と脆弱な性質のため、熱間圧縮埋込みには適していません。 したがって、常に冷間埋込みを行います。 しかし、アクリル樹脂の冷間埋込みは、硬化温度が高く、ハンダやポリマーに影響を与える可能性があり、高収縮してシリコンウエハーが割れることがあるため、避けた方が良いでしょう。

使用する分析方法によって、埋込方法も異なります。
  • 通常の埋込みでは、光学顕微鏡観察用には透明エポキシ樹脂(ProntoFixEpoFix)を使用します。
  • 空隙や穴を埋めるには、真空含浸を使用します。
  • 光学顕微鏡でロングパスブルーとショートパスオレンジフィルタを使用する場合は、蛍光色素(エポダイ)とエポキシを混ぜて、空隙や亀裂に対して優れたコントラストを与えます。
  • ビアが極小の場合は、穴に流れ込みやすい低粘性の透明樹脂が適しています。
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マイクロエレクトロニクス試料作製: 研磨

マイクロエレクトロニクス部品のサイズや必要なサンプル数に応じて、研磨および琢磨方法には、手動、半自動、全自動の3種類があります。

脆い材料の損傷や柔らかい金属の変形を避けるため、粗い砥粒による平面研削は避けてください。

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図12: 粗研磨 SiC フォイル/ペーパーによって生じたガラスダイオードの亀裂と破壊損傷

平行断面および横断面の研磨および琢磨用に推奨さえる3つのステップ

ステップ1
平坦度を高めるため、シリコンカーバイドフォイル/ペーパーでの研磨ではなく、剛体円板(MD-ラルゴ)上のダイヤモンドを使用した精研磨が推奨されます。

ステップ2
研磨後の平坦性を保つには、シルク布にダイヤモンド研磨を使用します。 柔らかい金属に研磨粒子が埋め込まれている場合は、これらを除去するまでダイヤモンド研磨を続けます。

ステップ3
最終研磨にはコロイドシリカ(OP-U ノンドライ)を使用します。ただし、浮き彫りを防止するため、短時間で行います。

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図13: 異なる材料硬度の研磨による浮き彫り

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図14: ハンダ内のダイヤモンド粒子

マイクロエレクトロニクス試料の手動作製

密閉されていないシリコンウエハーとパッケージを手動で試料作製する場合、トライポッドは、「研磨とチェック」と呼ばれる制御された材料除去プロセスを行う際に便利なツールです。 この方法の場合、30 µm~0.05 µmの粒径を持つ研磨材フィルムがガラス板に埋込まれており、試料は手動で研磨、琢磨されます。

マイクロエレクトロニクス試料の半自動試料作製

半自動制御材料除去には、シリコンカーバイドフォイル/ペーパーを使用してください。 アキュストップアキュストップT など、埋込みおよび非埋込みマイクロエレクトロニクスコンポーネントの両方に特殊な試料ホルダーを使用することをお勧めします。ターゲットより約50μm前に複数の試料を研磨したら、アキュストップホルダーから取り外し、精研磨および琢磨用に半自動機械に個別にセットします。

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表1: 直径30 mmの実装されたマイクロ電子部品の試料作製方法

マイクロエレクトロニクス試料の全自動試料作製

全自動の材料除去プロセスには、 ターゲットシステム などの自動機を使用することをお勧めします。 切断を含む試料作製工程全体には45~60分かかります。

ターゲットシステム は、試料作製前に試料を角度調整しと測定し、見える対象はビデオを使用して確認し、見えない対象はX線を使用して確認してから、自動で研磨および琢磨します。 これは、埋込みおよび非埋込み試料の平面断面および横断面の両方で制御された材料除去に使用して、±5 μmの精度を実現します。

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図15: 可視対象の位置調整と測定に対応したターゲット-Zビデオ

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図16: 不可視の対象を含む試料のX線

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図17: ビデオを使用して表示された可視ターゲット試料

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図18: 自動的に測定、計算される距離を示す試料を保持しているホルダー

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表2: マイクロエレクトロニクス部品のターゲット試料作製のための方法

e-メタログで実証済みの方法を入手する

研磨および琢磨面と懸濁液の選択は、除去率、平面性、浮き彫り、エッジ保持およびスミヤリングの要件によって決まります。 最適な方法を選択するには、e-メタログには電子部品に対する約25の実証済みの方法が掲載され、幅広い材料の組み合わせと試料作製要件に対応しています。
詳細をご覧ください

マイクロエレクトロニクス試料のエッチング

マイクロエレクトロニクス部品は異なる材料で構成されているため、反射する光も異なります。 これは通常、十分なコントラストを与え、エッチングを不要とします。 ただし、エッチングが必要な場合は、ハンダと銅にわずかな攻撃を与えるコロイドシリカを使用して最終的な研磨をお勧めします。 最終研磨工程では、過酸化水素(3%)を少量にしてOP-S ノンドライ懸濁液を使用してください。 過度なエッチングを避けるために、30秒後に試料を確認してください。 この時点を超えて続行する必要がある場合は、徐々に行います。

マイクロエレクトロニクスにおける銅および銅合金用エッチングに関する推奨事項:
25 ml 水
25 ml 水酸化アンモニウム
0.5-10 ml 過酸化水素 (3%)

構造のコントラストをさらに高めるには、次の照明技術をお勧めします。
  • 暗視野:セラミックスの亀裂を識別する
  • 差動干渉コントラストと偏光:特定の材料構造のコントラストまたは色を増加させる
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概要

IC、シリコンウエハー、および PCB は、現代の電子機器の主要な構成要素であり、金属組織は、これらの電子部品の設計、開発、および故障解析において重要な役割を果たします。

ただし、IC、シリコンウエハー、および PCB は、金属組織分析の試料作製が困難な場合があります。 IC は小さく、複雑な形状を持ち、金属、ガラス、セラミックなど、さまざまな材料が含まれています。 そのため、制御された材料除去には時間がかかり、コンポーネント内の特定のターゲットを研磨および琢磨するには忍耐と技術が必要です。

手動および半自動の材料除去制御プロセスを簡素化する特別なツール(アキュストップ)があります。 ターゲットの全自動試料作製では、ストルアスのターゲットシステムは速く、精密な研磨および琢磨を実現します。 材料の硬い層と柔らかい層との間に浮きが生じないようにするためには、ダイヤモンド硬質ディスクで研磨し、硬い布でダイヤモンド琢磨することを推奨します。

マイクロエレクトロニクス部品では通常、エッチングは不要です。 ただし、エッチングが必要な場合は、ハンダや銅に対してわずかな攻撃を与えるため、コロイドシリカによる最終研磨をお勧めします。

その他の材料に関する知見を入手してください

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Holger Schnarr

画像提供:Kelsey Torboli、アプリケーション エンジニア (米国)
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